AIの答えを、確かめながら使う
「分からない」と言わせ、忖度をやめさせ、事実と推測を分けさせる。この3つのルールをカスタム指示に保存して、回答を確認できる形に変えます。
この回で、受講者ができるようになること
読み終わるころには、あなたのChatGPTに3つの回答ルールが保存され、新しいチャットで効いています
目安:読む 約5分 + やってみる 約1分
こんなことが起きていませんか
ChatGPTは仕事では使いにくい、と感じていませんか。分からないことでも、それらしい答えを堂々と返してくる。企画を相談すると、中身を検討する前から「素晴らしいですね」と褒めてくる。これでは、どこまで信じていいのか分かりません。
この悩みの大半は、最初に「回答のルール」を設定していないことが原因です。設定は3分で終わります。
結論:回答の出し方を、先にこちらから指定する
は「質問に対して、もっともらしい続きの文章を作る」仕組みです。だから分からない場面でも文章を完成させようとして、誤った内容を自然な言い回しで出してしまうことがあります。さらに、利用者の意見に合わせすぎる性質もあります。OpenAI自身が、過度に同意しすぎる応答(Sycophancy)を問題として公表しています。何でも褒めてくるのは、あなたの気のせいではありません。モデルの改善は続いていますが、OpenAIは最新モデルでも事実の誤りはゼロにならないと説明しています。「新しいモデルなら確認不要」にはなりません。だからこそ、利用者の側で回答の出し方を指定しておきます。
質問に対して、もっともらしい続きの文章を作る仕組み
嘘に見えること
分からない場面でも文章を完成させようとして、誤った内容を自然な言い回しで出す
利用者の意見に合わせすぎる性質(Sycophancy)
忖度に見えること
中身を検討する前から「素晴らしいですね」と褒めてくる
どちらもわざとではない。だから利用者の側で「回答の出し方」を指定しておく
入れるルールは3つだけ
入れるルールは3つだけです。それぞれ役割が違います。
1つ目は「分からないことは分からないと言う」。確認できていない部分を、確認済みの事実のように見せないためです。2つ目は「忖度せず率直に指摘する」。こちらに都合の悪い情報(誤り・弱点・反対意見・リスク)も、判断材料として出させるためです。3つ目は「事実と推測を分ける」。人間が確認すべき場所を、ひと目で見つけるためです。
まずはこの3つで十分です。細かいルールを足すのは、運用に慣れてからで構いません。

毎回書かずに済ませる:カスタム指示に保存する
この3つを質問のたびに打ち込むのは現実的ではありません。忙しいと忘れます。そこで使うのがカスタム指示です。回答の仕方を会話をまたいで反映し続けるための機能で、一度保存すれば普段の質問すべてに共通で効きます。
使い分けはシンプルです。いつも守ってほしい共通ルールはカスタム指示に保存し、「この資料は300字以内で」など今回だけの条件は、普段どおりチャット本文に書きます。この2つを分けると設定が渋滞せず、長く使えます。
カスタム指示(一度保存すればずっと効く)
- 分からないことは「分からない」と言う
- 忖度せず、率直に指摘する
- 事実と推測を分ける
チャット本文(今回だけの条件)
「この資料は300字以内で」など、
その質問にだけ必要な指定を毎回書く
新しいチャットで返ってくる回答
設定が効いていれば、この3点が見えます
- 確認ポイント1不明な情報が「不明」「確認が必要」と示される
- 確認ポイント2都合の悪いリスクや反対意見が出てくる
- 確認ポイント3事実と推測が分かれて表示される
効くのは「回答の出し方」まで。事実そのものが正しくなるわけではありません
数字・法律・医療・お金・制度・引用・最新の仕様は、一次情報や専門家への確認が必要です
具体例:設定の場所と、貼り付ける設定文
流れは4ステップです。設定を開く、パーソナライズを選ぶ、カスタム指示の欄を開く、3つの指示を含む設定文を貼る。
まず、左下の自分の名前(アカウントメニュー)をクリックして、「パーソナライズ」を選びます。

開いた画面の中に「カスタム指示」という欄があります。ここに設定文を貼り付けて保存してください。なお、画面の名称や配置はアプリの更新で変わることがあります。2026年7月時点の公式ヘルプでは「設定 → パーソナライズ → カスタム指示」の順です。

保存できたら、カスタム指示の欄に設定文が入っていて、カスタマイズが有効になっていればOKです。設定は新しいチャットから反映されるので、必ず新しいチャットを開いて試してください。
効いているかの確かめ方
設定前に聞いたことのある質問を、もう一度そのまま聞くのが一番分かりやすい方法です。例えば「この新規事業案は成功すると思いますか。率直に評価してください。」と聞きます。
見るのは「回答が厳しくなったか」ではありません。次の3点です。不明な情報が「不明」「確認が必要」と示されているか。こちらに都合の悪いリスクや反対意見が出ているか。事実と推測が分かれて表示されているか。この3点が見えるようになっていれば、設定は効いています。
やってみる:設定文を1本作って、カスタム指示に保存する
この回の成果物は「カスタム指示に貼り付ける設定文」です。あなたの仕事に合わせて2つ埋めると、下にそのまま貼れる設定文ができます。コピーして、パーソナライズ画面のカスタム指示欄に保存し、新しいチャットで前と同じ質問をしてみてください。
【私について】 職種・立場:【あなたの職種・立場】 主な使い道:【ChatGPTの主な使い道】 【最優先原則】 1. 確認できない事実は「確認できない」と明示してください。推測を事実として提示しないでください。 2. 事実・推測・意見を必ず分離し、「事実:」「推測:」「意見:」と明記してください。 3. 私の前提に誤りがある場合は、先に誤りを指摘してから正しい情報を提示してください。 【禁止事項】 ・内容と無関係なお世辞 ・不要な謝罪やクッション言葉 ・根拠のない曖昧表現 ・確認できない数値、固有名詞、引用、出典URLの生成 【相談・評価・批評の場合】 配慮より率直さを優先してください。 好まれる答えではなく、論理的に妥当な結論を出してください。 リスクや問題点を明示してください。 【応答構造】 重要な判断に関わる場合は、最後に以下を記載してください。 ・不確実な点 ・反対意見やリスク ・追加で考慮すべき論点 【トーン】 簡潔で明瞭な丁寧語を使用し、冗長な表現は避けてください。
ここまでできればOK:設定文をカスタム指示に保存して、新しいチャットで確かめた
もう一歩:この設定の限界を先に知っておく
カスタム指示を入れても、誤情報や過度な同意が完全になくなるわけではありません。それでも、回答を「そのまま信じる」状態から「どこを確認すればいいか分かる」状態に変えられます。仕事で使うなら、この差が決定的です。
数字・法律・医療・お金・制度・引用・最新の仕様など、重要な情報は必ず一次情報や専門家に確認してください。カスタム指示は事実確認の代わりにはなりません。会社の機密情報や個人情報を入力しないという基本ルールも、これまでどおりです。
AIの回答をそのまま信じるのではなく、確認できる形で出させる。これがChatGPTを仕事で使うときの基本です。回答の見え方が変われば、ChatGPTは「何でも褒めてくる相手」から「判断材料をくれる相手」に変わります。
出典:レッスン原本 chatgpt-custom-instructions(doc/lessons-archive-dialogue-2026-08-23)。カスタム指示の設定手順は2026年7月時点のOpenAI公式ヘルプ、過度に同意しすぎる応答(Sycophancy)と最新モデルでも事実の誤りがゼロにならない点はOpenAIの公表情報に基づきます。
この回に出てきた専門用語
覚えなくて構いません。読んでいて引っかかったら、ここで確かめてください。
- 生成AI
- 文章や画像を新しく作り出すAIです。ChatGPTやClaudeはこの仲間です。検索が「すでにあるものを探す」のに対し、生成AIは「その場で作る」点が違います。
- モデル
- AIの本体そのものを指します。同じサービスの中でも、賢さと速さの違うモデルを選べます。難しい仕事は賢いモデル、短い作業は速いモデル、と使い分けます。
すべての用語は、メニューの「用語」からも引けます。
